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医療法人社団友輝会川崎ひのわクリニック

漢方治療

A.高齢者と漢方治療

@高齢者の特徴は、一人が複数の慢性疾患に罹患していることが多いということです。
西洋医学では病名に対して薬剤が投与されるために薬剤数が多くなりがちです。
漢方治療では一つの薬剤が多くの薬効を有しているので、投与する薬剤が少なく済みます。また西洋薬に比し、重篤な副作用が少なく、長期投与可能な特徴があります。
A高齢者では個体差が大きいです。西洋薬ではこの個体差にあまり注目せずに投薬しますが、一方漢方治療の“証”に合った薬剤を検討します。
Bまた生体防御力が低下しており、感染症や悪性腫瘍に罹患しやすいということがあります。
西洋薬には免疫賦活作用を有する薬剤が少ないですが、漢方薬の中には柴胡剤のような免疫賦活作用を有する薬剤が多い特徴があります。 漢方医学の考え方として、病気に克つためにまず体の免疫力、抵抗力を高める必要があり、そのため沢山の補剤が存在します。
C高齢者では自覚症状はあるが、他覚所見に乏しく、診断がつかない症例がしばしばあります。漢方薬では“証”としてとらえ、対応していきます。

B.慢性疲労症候群と漢方治療

検査で異常がないのに、いつも疲れる、どうすれば良いか?
慢性疲労症候群という病気としての“疲労”は認められながらも、原因はまだ分かっていません。検査では異常が見つからず、 いつも疲れやすく、全身倦怠感、食欲不振、集中力の低下、めまい、手足の冷え、慢性的な下痢や便秘、朝に弱いなど・・・。 漢方医学では、これらの症状を消化機能の低下によるエネルギー不足と考え、漢方薬を用いての治療をしています。

何のつながりもないような症状も、脾胃の機能低下が原因であれば、衰えた脾胃の力を補って、全身に栄養物を巡らせるエネルギーを作り出すのが、“補中益気湯”の主な作用です。

補中益気湯は、脾胃の機能低下に着目し、回復させることで、目覚めや胃腸の回復、立ちくらみ、発汗、頻尿、下痢などに効果があります。適応する病気には、 胃下垂症、慢性下痢、子宮脱、痔などの胃下垂、女性の月経過多、不正出血、帯下、老人性失禁などです。

補中益気湯は、元気不足を補うという意味なのです。だから、慢性疲労の特徴的な症状にあてはまるものだといえます。

C.冷えと漢方治療

あなたの冷え性(症)度をチェックしましょう。
冷え性チェックリスト
手足がすぐ冷たくなる
生理痛がひどい
手足がしびれることがある
トイレが近い
しもやけやあかぎれができやすい
風邪をひきやすい
肩が冷えやすく痛むことがある
冷え性で出やすい症状をあげてみました。
3つ以上あてはまる方は要注意です。

冷え性(冷え症)とは?

皆が寒がらないのに自分だけ寒いと感ずることや、実際に気温の低下に対して体温調節ができず、体の表面の温度が低下してしまい、 日常生活に支障をきたし熟睡できなくなったりすることです。

主に手足の先や背中の辺りなど局所的に皮膚温が低下するものです。

原因としては、血管に作用する自律神経の機能が乱れ、血管が細くなり血流が低下してしまうことが考えられています。

冷え性(冷え症)は、女性に多く、卵巣の働きが綿密に関係し、生理中や生理後の10日くらいの期間あるいは更年期に多くの症状がみられます。 時に甲状腺や副腎などのホルモン異常や動脈の閉塞などの病気が背景にあることもありますが、多くは女性ホルモンに対する自律神経の反応異常によります。

冷え性(冷え症)に多い症状

冷え性チェックリスト
手足が常に冷えていて、なかなか温まらない
肩、ひじや膝などの関節痛、腰痛
夏でも汗をかかない
冬は特に朝起きるのがつらい
顔色が悪い
いくら寝ても疲れがとれない
低血圧
生理痛・生理不順
目の下のクマ
集中力がなくなる
胃腸虚弱、胃もたれ、食欲不振、胃痛
しもやけ・あかぎれ・しびれ
ほてり、のぼせ、めまい
頭痛・肩こりがひどい
トイレが近い、膀胱炎
元気がない、気力がない
慢性疲労、だるい
不眠
便秘、下痢、お腹がはる
肌荒れ、乾燥肌、ニキビ
むくみ、足がむくむ
風邪をひきやすい
・・・・・多様な症状があります。

冷え性(冷え症)のタイプを以下のように分類して考えることができます。

@ 月経周期と関係なく気温の低下に過敏に反応して“冷え”を訴えるタイプで、いわゆる自律神経の失調によるもの

A 月経時やその後の10日間程度、周期的に見られるタイプで黄体ホルモンによる体温上昇作用が消失したことによるもの

B 更年期やそれ以後の女性に見られるもので、女性ホルモンの変化や血管の老化に伴う血流障害などが関係しているもの

漢方では・・・・・

女性に多い“冷え性(冷え症)”は漢方薬の服用で改善します。
原因は、自律神経のアンバランスによることが多いのですが、女性ホルモンが深く関係することは確かで、 それ以上の詳しいことはよくわかっていません。そのため病気の原因を直接・間接的に除去するという西洋医学的治療が難しい症状です。

漢方では症状はもちろん、個人の体質に合った薬も選ぶことで、冷え性の治療はもっとも得意とする分野です。
冷えの他、よく伴う症状である、めまい、頭痛、肩こり、下痢などの症状があれば、それらを同時に改善させることもできるのです。

個人の体質・症状に合わせてその人に合った漢方薬を選びますが、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸、温経湯などの漢方薬が使われます。

漢方薬で、冷え性を改善してみませんか?

暮らしの中の予防法

■食事
冷たいアイスやジュース、生野菜、果物などの大量摂取は避け、体を温める食品(生姜、ねぎなど)をバランスよく摂りましょう。
■入浴
寝る前に38-40℃くらいのお湯にゆっくりつかると、手足の血の巡りがよくなります。みぞおちまで浸かる半身浴、くるぶしまでをお湯につける足湯もおすすめです。
■服装
靴下の重ね履きや、毛糸の下着などの工夫で、冷えから体を守りましょう。しめつけの強い下着は、血の巡りを悪くするので避けましょう。
■運動
血行をよくするウォーキングやストレッチなどの適度な運動を心掛けましょう。
■室温
過剰な冷暖房の元では、体温調節機能が狂いがちです。できるだけ室温と気温の差は5℃程度にしましょう。

D.更年期症状と漢方治療

症状 点数
1.顔がほてる ○10 ○6 ○3 ○0
2.汗をかきやすい ○10 ○6 ○3 ○0
3.腰や手足が冷えやすい ○14 ○9 ○5 ○0
4.息切れ・動悸がする ○12 ○8 ○4 ○0
5.寝つきが悪い、または眠りが浅い ○14 ○9 ○5 ○0
6.怒りやすく、すぐイライラする ○12 ○8 ○4 ○0
7.くよくよしたり、憂鬱になることがある ○7  ○5 ○3 ○0
8.頭痛、めまい、吐き気がよくある ○7  ○5 ○3 ○0
9.疲れやすい ○7  ○4 ○2 ○0
10.肩こり、頭痛、手足の痛みがある ○7  ○5 ○3 ○0
結果はどうでしたか?

合計点数:0-25点…問題なし
合計点数:26-50点…食事・運動に気を付け、無理をしないようにする
合計点数:51-65点…医師の診断を受けたほうがよい
合計点数:66-80点…長期治療が必要
合計点数:81点以上…各科の精密検査が必要

次に、更年期の症状をみていきましょう。

更年期障害(更年期症状)とは?

更年期は個人によって違いますが、およそ45歳くらいから55歳くらいまでの10年間が、その時期にあたると考えられています。この時期は女性ホルモンのバランスが乱れ、さまざまな身体的、精神的諸症状があらわれます。 とくに卵巣機能が衰えて、卵巣で作られる女性ホルモンのひとつのエストロゲンが消失することで、体と心にさまざまな影響を及ぼします。

症状の出方には個人差がありますが、のぼせ、発汗、冷え、イライラ、憂鬱、不安感、不眠、めまい、動悸、頭痛などの“不定愁訴”が現れます。

気力がなくなったり、物忘れがひどくなる人もいます。体の変調に加えて、家庭環境の変化(子供の巣立ち、親の介護など)や個人の性格といった背景も影響して、つらい症状を引き起こします。

また男性も50歳を過ぎた頃から女性と同じような症状が現れることがあります。 女性に比べて緩やかですが、男性ホルモンの減少が影響しています。 のぼせ、動悸、性欲の減退、腰痛、不眠、不安感、焦燥感といった症状が現れます。これからの生活をより豊かにするためには、自分に合った方法で前向きに過ごすことが大切です。

現れやすい症状

血管運動神経症状 ホットフラッシュ・動悸・頻脈・手足の冷え・のぼせ・めまい・ほてり・耳鳴りなど
精神神経症状 イライラ・不安・落ち込み・抑うつ・不眠・意欲の低下・判断力の低下・集中力の低下・焦燥感・頭痛など
運動器関係の症状 肩こり・腰痛・筋肉痛・関節痛など
消化器系の症状 食欲不振・嘔気・嘔吐・便秘・下痢・お腹の張りなど
生殖器系の症状 不正出血・月経量の異常・性交痛・外陰部の違和感
泌尿器系の症状 頻尿・排尿痛・尿漏れ・残尿など
その他 症状 のどのつかえ感・肥満・やせ・むくみ・白髪・抜け毛・肌の乾燥・しわ・シミ・知覚過敏・鈍感・しびれなど

漢方では・・・・・

昔は更年期や更年期障害(更年期症状)という概念こそありませんでしたが、その時期に起こったさまざまな不定愁訴に対しては、漢方薬が使われていました。今でも、検査では異常がないけれど、本人はつらい症状を持っている、いわゆる不定愁訴の治療は漢方治療がもっとも得意とするところです。 更年期障害(更年期症状)は漢方薬の使われる頻度が高い疾患のひとつといえます。

更年期に現れるさまざまな不定愁訴は、気・血・水のうちの、気や血の不調からきていると捉えられています。頭痛や肩こりは血の流れが滞る“於血”、めまい、気力や集中力の低下、睡眠障害、耳鳴りなどは血が不足する“血虚”、のぼせやほてり、頭痛、動悸などは気の流れに異常が生じる“気逆”と捉え、これらを改善する漢方薬が処方されるのです。

漢方薬のよいところは、複雑の症状に対して効果が現れることです。また、漢方薬はその人の体質や体格を考慮して処方されるので、その人とぴったり合えばよく効きますが、合わない場合はなかなか症状が改善されないということもあります。その場合は、他の漢方薬に切り替えるなどの対応が必要です。

よく用いられる漢方薬

加味逍遥散 温経湯
五積散 女神散
当帰四逆加呉茱萸生姜湯 苓姜朮甘湯
八味地黄丸 桂枝茯苓丸
防風通聖散 温清飲
当帰芍薬散
など、多くの種類があります。

E.便秘と漢方

◆便秘とは?
朝の快便は、気持ち良いですよね。でも、便秘だと・・・・。
お通じが1週間ない。おなかも気分も悪くて下剤をいくつも試し、かえって下痢や痔になってしまった、なんていう辛い経験はありませんか?

便秘のうち、特定の病気(大腸がんや手術後の癒着、潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患、甲状腺機能低下症など)や薬の副作用が原因で起こる便秘を除いた、 大腸や直腸の働きが異常となっている便秘を機能性便秘と言います。機能性便秘が慢性になったものが、いわゆる常習性便秘で、便秘で最も多いタイプです。 生活習慣やストレス、加齢などの影響によって大腸や直腸、肛門の働きに異常を生じたと考えられています。

◆機能性便秘(常習性便秘)は3つに分類されます。
@弛緩性便秘…高齢者に多く、冷え性の人、運動不足などに多い 
Aけいれん性便秘…ストレス社会で生活する人に多い
B直腸性便秘…便意を習慣的に我慢している人に多い

便秘が続くと、排便しても便が硬いため、肛門を傷つけやすく“痔”になります。
肛門の痛みや出血を恐れて便意を我慢していると、さらに便が硬くなって便秘を悪化させてしまいます。

◆漢方では・・・・・
漢方治療は、乱れた腸の働きを整え、正常な便通を取り戻すのに優れた効果があります。大黄甘草湯、調胃承気湯、防風通聖散、大黄牡丹皮湯、桃核承気湯、 通導湯、三黄瀉心湯、潤腸湯、麻子仁丸など多くの漢方薬が体質・症状により使われます。

F.ストレスと漢方

◆ストレスにも漢方
厚生労働省の調査によると、最近1ヶ月間の日常生活でストレスがあると感じている人が過半数いるそうです。内容は、仕事上の悩み、 自分や家族の健康・介護・収入や家計の事、人付き合いなどがあげられています。
ストレスは、疲労感、頭痛、肩こり、動悸、めまい、食欲不振、胃痛・・・など多くの症状となって表れます。そして長い間ストレスにさらされると、 自律神経の乱ればかりでなく、ホルモンバランスが崩れて各種の臓器の働きが悪くなり、免疫力も下がって感染症にかかりやすくなるなど、多くの 体調不良を引き起こします。

漢方では、独自の望診、問診、聞診、切診などの診察を行い、“証”を診断します。(“証”とは、ストレスを受けた結果の体の状態をいいます)

ストレスによって生じるているいろいろな症状を、“証”に基づいて診断し、漢方薬を処方します。
ストレスに負けない体づくりに、漢方を活用しましょう。

医療法人社団友輝会理事長 紹介

医療法人社団友輝会 理事長
野本 文子

医学博士・内科認定医・循環器専門医
・東京女子医科大学医学部 卒業
・東京女子医科大学 循環器内科
・仙台循環器センター 循環器内科
・横浜医療センター 循環器内科
・東日本循環器病院 循環器内科
・太田総合病院 内科
・横浜医療センター 糖尿病科
・横浜総合病院 内科
所属学会
日本内科学会/日本在宅医学会/日本緩和医療学会/
日本糖尿病学会/日本東洋医学会/日本循環器学会

nomoto

至誠と慈愛をもって、いたわりの医療を目指します。
医療法人社団友輝会は2006年より川崎区にて「ベイクリニック」で診療を開始し、鶴見区にある「ひのわクリニック鶴見」と共に一般外来・在宅医療を中心に診療を行っています。
ベイクリニックの院長を経て、2014年から同法人の理事長に就任し、ひのわクリニック鶴見を院長として開設しました。友と共に輝くためにしっかりと患者様に向き合う診療をして行きたいと思っております。

また、在宅医療は患者様が普段の生活をしている中での診療です。「在宅で診療を行う」状態であっても「病院に入院する」時と同じような医療サービスを受けられるシステム作りが必要です。
在宅療養支援診療所として、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されることを目指しており、地域包括ケアシステムを医療・看護・介護の緊密な連携を取って構築して参ります。
その為、スタッフのチームワークはもちろんのこと、緩和ケア、ターミナルケアも充実させつつ、地域医療に少しでも貢献できるよう、日々努力して参ります。

今後も、地域に関わる皆様と協力しあい、より良い関係の構築を進めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

野本 文子

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